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最高裁判所大法廷 昭和23年(れ)1232号 判決 1949年2月09日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人馬場東作の上告趣意について、

論旨は、本件被告人に對する數度の勾留更新の決定が前勾留期間滿了の三日前乃至一二日前になされたことを非難している。しかし勾留繼續の必要が豫測される場合に於ては、前勾留期間滿了の若干日前に豫め更新の決定をすることは何等差支えないことであるばかりでなく、更新決定の執行は、その原本を被告人に示してこれを爲すべきものであるから、被告人に送達する日時の餘裕を見込んで萬全を期するためにそのことが必要な場合さえもある。右のような勾留更新の決定が若し不當の場合には被告人からは他に不服申立の方法によつて救濟を求めることができるし、勾留の原由が消滅したときには、裁判所は勾留取消の決定をする筈のものであるから、これによつて不當に被告人の自由を奪うことにはならない。從ってこれを以て旧刑事訴訟法第一一三條の規定の精神に著しく背反し、憲法第三一條に抵觸するものと主張する論旨は理由がない。

被告人長沢徳藏の上告趣意書は趣意書提出期間後に提出されたものであるからこれに對して説明しない。

右の理由により舊刑事訴訟法第四四六條に從い主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上 登 裁判官 栗山 茂 裁判官 真野 毅 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)

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